日日是独身

30代ずぼら独女の、ゆるかったりしんどかったりする日常。

角田光代「平凡」

10月の1冊。

角田光代「平凡」。
短編集。角田さんの短編集は、好きなものが多いです。
本作のほかにも、「太陽と毒ぐも」「彼女のこんだて帖」「さがしもの」などなど…。


「もしも、あのときこうしていたら」
「ああしていなかったら」
…と思っている人々が登場します。


全ての登場人物が強烈に後悔しているわけではなくて、
多くの人は漠然と、「今は今でいいんだけど、なんとなく…」
と過去の「もしも」を考えてしまっている状況。


いちばん好きなのは「いつかの一歩」かな~。
別の短編集で読んだことがあったのですが、再読してやっぱりいいなあと。
※以下微ネタバレです。


早い話が、「元カノが居酒屋を始めた」男性の話。
付き合っている当時は彼女と結婚する気にはなれなかったけれど、
「あのとき結婚してたらうまくいってたかも…」
と考えてしまう主人公。


そして元カノのほうは、
「ひとつなければ、次のひとつもなくて、そうしたら、またぜんぜんべつのところにいってるんだなあーって、しみじみ思うのよね」
…と、達観している様子。


まあ、そうだよなあ~と共感。


「あのとき、ああしてればよかった」「あー、馬鹿だったなあ」と昔を思い返すことはきっと誰でもあって、わたしもよくあります。


ただ、「戻ってやり直したいか」と聞かれたら
「いや、めんどくさいんでいいっす✋」と
答える気がします…(笑)。


だって、そうなんですよ、つながってるから。
たとえば、大人になって働き始めると「勉強しておけばよかった」と思うっていうのは正にそのとおりで、だけどじゃあ中学高校から頑張り直せるかと言われたら絶対嫌♡


集団行動とかスクールカーストとかもう無理。
新卒就職時の意識高いアピール合戦とかも、もうめんどい。


もしも…は妄想を楽しむくらいに留めておいて、
今は今で「まあ、こんなもんじゃね?」くらいには
思える日々を過ごしたいなあ…とわたしもしみじみ思いました。