日日是独身

30代ずぼら独女の、ゆるかったりしんどかったりする日常。

蓮見圭一「水曜の朝、午前三時」

こんにちは。
ちょっと早めに仕事納めとなりました(∩´∀`)∩


12月の1冊。

蓮見圭一「水曜の朝、午前三時」


タイトルと表紙に惹かれて購入。
最近小説でもマンガ絵の表紙が多いですが、こういうの好みです!
勿論、イラストがぴったりなのもありますけどね。しゃばけシリーズとか…


好きな作家さんで探すときはAmazonとか楽天ブックスを使うことが多いですが、
やっぱり実店舗でうろうろ気楽に探すのもいいですね♪


さてさて本題。以下ネタバレ含みます。


時代は大阪万博の頃。
万博ホステス(←という呼び名だったらしい)として働く「直美」と、
万博スタッフ(語学教育係)「臼井さん」との思い出を、
晩年(病床)の直美がカセットテープと手紙に残して
娘に伝える…という形で進んでいく物語。


大阪万博の雰囲気がとても詳しく描かれていて、
すごく興味をひかれました。


日本みんなで、「戦後」からの発展に一丸となっていた時代だったんですね。
今なら、(コロナ問題を抜きにしても)そこまで熱くならないような。
いち職員であるホステスさん達が取材されて色んな雑誌に載るとか、入場制限しても歩けないくらい混むとか…とんでもなくないですか(笑)。


直美と臼井さんの恋ですが…


正直、別れを選んだ時点の直美は責められないかな。
差別と言われてしまえばそれまでだけれど、今でも揉める問題だと思います。


国籍が違うだけならまだしも、工作員疑惑まである相手。ましてこの時代(経験してませんが)で、直美一家は「祖父がA級戦犯だった」ことを重く受け止め続けているような家庭で…となったら…そりゃあねえ。


生まれる国や家は選べない。
でも、臼井自身が「自分はそこから逃げたい、変わりたい」と思っているわけではない…つまり腹をくくって使命を全うしようとしている以上、どうしたって互いの家族も巻き込まれますからね。


ただ、別れたのにその後も「臼井さんからの電話ではないかと期待した」とか「来年の今日、もう一度会って戴けませんか」とかは共感できません。潔く別れてやってよ、と(笑)。まあ、臼井さんもそんな直美が好きだったのでしょうけど。


いちばん印象に残ったのは、ラストで直美の娘旦那の「僕」と臼井さんが会うシーン。臼井さんの(国に帰った)友人からの手紙のエピソード。抜粋したいところですが、検索等で要らぬ誤解を生んでも…なので割愛。


読んでスッキリしたり癒されたり…ではなかったけれど(わたしの読解力が足りないだけなのか、あえてぼかしてあるのか、いくつか謎も残った…)、時代やら差別やらについてすごく考えさせられた1冊でした。