日日是独身

30代ずぼら独女の、ゆるかったりしんどかったりする日常。

山本文緒「自転しながら公転する」

3月の1冊。
いつも文庫化待ちな私ですが、大好きな山本文緒さんの
久しぶり(7年ぶりだそうで)新作なので…

待ち切れず購入!
紙袋DEカバーも、単行本サイズを作成。


「自転しながら公転する」
以下ネタバレ含みます。



母親が体調を崩し(重い更年期障害)、地元に帰ってきた33歳の「都」。
ショッピングモールの服屋で契約社員として働いています。
同じモールの回転寿司で働く「貫一」と出会い、恋人になりますが、
彼は「結婚」を意識するには不安な要素が多くて…
さらに父親も病気になるわ、職場もゴタゴタするわ…


と、物語はこんな感じで進みます。


山本さんの作品でいつも思うのは、
日頃の「なんか、そういうことじゃないんだよな…」
といううまく言えないモヤモヤを言語化するのが
すごくお上手だよなあ…ということ。


今回で言えば、
「お洒落な人って狭量な面があると思います」とか
「甘えていいと言われるのは、甘えるなと言われるよりきつかった」とか。
そんなシンプルなひと言や一文に「そう!ほんとそれ!」と思ってしまう。


どの人物にもツッコミどころがあるんだけど、それをちゃんと指摘する人が出てきたり、自覚せざるを得ない出来事が起きたりするので面白い。
わたしは、都の後輩の「そよか」ちゃんが好きかな。いわゆる正論女なんだけど、ちゃんと自覚して悩んでもいるっていう…居そうで居ない感じのキャラだった気がします。


プロローグ・エピローグは書き下ろしだそうで。
連載は追っていなかったけれど、あって正解だと思います(なんか偉そうですね…笑)。
おかげで、同じ人のことでも、「見る人」の立場で感じ方は違うよねー、としみじみ。



私は普段から「内容は重め、文体はあっさりめ」な本が好きでして、
(重くてもエログロが過ぎると嫌で、文体があっさりでも綺麗事すぎるとモヤるのです。我儘だなあ…)
そのぶっちぎり(あくまで私の好み部門)は山本文緒さんだと思ってきました。


今回の作品は、山本さんにしては毒が弱め?な感じもしましたが、
(プラナリアとか恋愛中毒くらいのしんどさが大好物なもので)
それでもさすがのリアルさと面白さでした♪