日日是独身

30代ずぼら独女の、ゆるかったりしんどかったりする日常。

篠田節子「家鳴り」

8月の1冊。

篠田節子「家鳴り」


心霊系ではない(心霊といえば心霊かな?というものがひとつ)ホラー短編集。
夏は怖いものが読みたくなりますよねえ。


以下ネタバレ含む感想です。


「幻の穀物危機」…近い将来本当にありそうで怖い。他人に半端に情けをかけたら家族が守れなくなるって、恐ろしい。
「やどかり」…胸糞悪し。女は少女の頃から怖し。引っかかる男も男だが…
「操作主」…個人的にいちばん怖かった!これまた明日は我が身かもしれない。介護する側・される側で認識が違うことはあるだろうし、どっちも悪くない。でも「される側」の立場に立ったらすごく恐ろしかった。家族は報われないよなあ…
「春の便り」…唯一?ちょっとハートフル。動物モノは涙腺が緩む…
「家鳴り」…いわゆる共依存ってことなんだろうけど…本人たちは幸せそうなのが外から見ると恐ろしい。夫はどの段階でどうしてあげたら良かったんだろう。
「水球」…ホラー要素は薄め。歳を取るにつれ、「仕事にかまけて家庭を顧みることができなかった中高年男性」に感情移入するようになりました(苦笑)。もちろん不倫は論外ですが。
「青らむ空のうつろのなかに」…少年を「可哀想」と思うのは簡単だけど、そもそも民間?で引き受けちゃダメなケースなのだと思う。父親が、農場の人たちが世間体を気にしなければ違う未来があったのかな…



1話ごとに感想書けちゃうくらい、どれも面白かったです( ..)φ
先月ジハードを読んで知ったばかりだけど、篠田節子さんいいなあ。