日日是独身

30代ずぼら独女の、ゆるかったりしんどかったりする日常。

京極夏彦「狂骨の夢」

1月の1冊。

京極夏彦「狂骨の夢」


元旦から、ダークなものを読み始めてやったぜぃ٩( ''ω'' )و
去年から挑戦している京極さんシリーズ、3冊目。


例によって分厚いです。
そして、1・2作目と比べても宗教やら心理学がより複雑に絡んできて、過去回想なんかを含めると登場人物もいちばん多い気が。
でも、雰囲気的に私好みだったのか、単に京極さん作品に少し慣れてきたのか…いちばんすいすい読めた気がします。


以下、ネタバレ含みます。


いつも事件に巻き込まれる作家、関口のもとに、有名作家の「宇多川」から相談が。
宇多川の妻、「朱美」は、過去の記憶が曖昧で精神的に不安定。最近一層様子がおかしく、「死霊が訪ねてくる」と言い出した…。


事件の舞台となったお屋敷がインパクト大だったので、
ざっくり描いてみました(笑)。

その名も「脳髄屋敷」
(右脳と左脳みたいだから、らしい)
2件の家は物理的には近いのだけれど、山の切り通しに埋め込むように建っていて、一度道を下らないと隣家には行けない。
そして、2件の家は間取りがまったく同じ…。


これを建てたのは、大正時代の医師兼俳人。
帰り道、左に行けば本妻が待っている家、
そして右に行けば妾…愛人が待っている家。
その日の気分で2つの人生を楽しんでいた、というのです。


作中でも散々「悪趣味」と言われていますが、とんでもねえ話です(笑)。
単に「ひとつは家族と住む家、もうひとつは自分だけの趣味屋敷」とかにするなら羨ましい限りですが。
医師が亡くなり、空き家となったこの家に移り住んだのが宇多川夫妻だったわけですね。
ここにそれぞれの過去やら信仰やら特性やらが加わって、実にややこしい事件に。


「奇人」探偵、榎木津さんの活躍がやや少なかったのが残念ですが…読み応え充分で面白かったです。暗闇に蝋燭での「憑き物落とし」場面は想像するだけでスリリング。
ただし、宇多川さんはひたすら気の毒です…