日日是独身

30代ずぼら独女の、ゆるかったりしんどかったりする日常。

近藤史恵「岩窟姫」

遅ればせながら、10月の1冊。

近藤史恵「岩窟姫」


以下ネタバレ含みます。




人気タレント、「沙霧(さぎり)」が突然飛び降り自殺。
彼女のSNSには、同じ事務所のタレント「蓮美(れみ)」から
いじめ、嫌がらせを受けていたと記されていたが
当の蓮美には覚えがなく、
むしろ友達だと思っていたのに…



この本は2015年発行だそうですが、
なんともセンセーショナルな内容…。
今年、多いですもんね。



思わぬ人が自ら命を絶つと、
やはり理由を勘ぐってしまいますよね。
そして、少しでも「犯人」要素があった人は
叩かれて、それも自業自得と思われる。
事実だったら、その通りだけど。


でも、なかには、この蓮美ちゃんのように
濡れ衣や言いがかりパターンもあるかもしれない…。
彼女がバッシングを受けて引きこもる場面は、
本当に心が痛みます。


結局は、謎が解けて
(沙霧は命がけであることを訴えようとしていて、蓮美の名前を出すことである意味彼女を守っていた)
どんでん返しもあり、
蓮美は沙霧を許せるわけですが、


自分だったらそれでも許せないな…と思ってしまいます。
死者はそれ以上叩かれないけれど、周りは恨み言を言ったところで
「亡くなった人を悪く言うなんて!」と言い訳もできない。


ネットの噂を鵜呑みにする怖さとか、
正義感の在り方とか色々考えさせられました。



正直、「この人怪しい」とか
「この人味方になってくれそう」とかは
わりとすぐわかってしまうんですが、それでも、
引き込まれて夢中で読んじゃいましたね。